「面接で敬語を間違えたらどうしよう」「緊張すると、変な日本語になってしまう」。敬語に自信がなくて、面接が怖いという就活生は少なくありません。

私自身も、もともと敬語が苦手でした。大学時代は社会人と話す機会がほとんどなく、部活もしていなかったので、最初の面接ではかなり苦戦しました。それでも、すぐに慣れて、最終的には面接の7割以上を通過できるようになりました。

結論から言うと、ポイントは次の3つです。

  • 面接では、敬語が完璧でなくても大丈夫。多少崩れても、丁寧に話そうとする姿勢が伝わればいい
  • よく使う敬語は決まっている。一覧で覚えて、声に出して練習すれば身につく
  • 敬語は「外国語」だと思って、とにかく使うこと。面接用の「自分」になりきるのがコツ

この記事では、面接で敬語が崩れても印象を下げない話し方と、面接でよく使う敬語の一覧、敬語に慣れるための練習方法を解説します。

面接で敬語が崩れても、落ちるとは限らない

まず知っておいてほしいのは、面接官は、学生に完璧な敬語を求めているわけではないということです。

面接官が見ているのは、敬語の正確さそのものよりも、次のような点です。

  • 相手に失礼のないよう、丁寧に話そうとしているか
  • 質問に対して、わかりやすく答えられているか
  • 社会人として、最低限のマナーを身につけているか

少し言い回しを間違えたくらいで、不合格になることはまずありません。むしろ、敬語を気にしすぎて言葉に詰まったり、話の中身が伝わらなくなったりするほうが、印象は悪くなります。

敬語を完璧にしようとする場合と、丁寧に伝えることを優先する場合の違い

それでも、敬語ができないと困る場面はある

とはいえ、「ですます」すらあやしかったり、友達と話すような言葉づかいが出てしまったりすると、さすがに印象は下がります。目指すのは、完璧な敬語ではなく、面接でよく使う表現を、自然に使えるレベルです。

あなたの敬語はどのレベル?

ここで、自分の敬語のレベルを確かめてみましょう。

レベル状態対策
基礎から不安尊敬語と謙譲語の違いがわからない。「伺う」「おっしゃる」がピンとこないこの記事の一覧で、基本の言い換えから覚える
慣れていない意味はわかるが、話すとたどたどしい。緊張すると崩れる声に出す練習と、面接用の「自分」づくり
使いこなせる自信を持って自然に話せる面接の中身の準備に集中する

就活生に最も多いのは、2つ目の「慣れていない」レベルです。私も最初はここでした。ESなどの文章では正しく書けるのに、対面で話すと自信がない。このレベルの人は、慣れれば十分に面接で通用する敬語が身につきます。

面接でよく使う敬語の一覧

面接で使う敬語は、実はそれほど多くありません。よく使うものを覚えておけば、ほとんどの場面で困らなくなります。

基本の言い換え(尊敬語・謙譲語)

尊敬語は相手の動作を高める言葉、謙譲語は自分の動作をへりくだる言葉です。面接では、面接官の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語を使います。

ふつうの言い方尊敬語(面接官の動作)謙譲語(自分の動作)
言うおっしゃる申す・申し上げる
見るご覧になる拝見する
行く・来るいらっしゃる・お越しになる伺う・参る
いるいらっしゃるおる
聞くお聞きになる伺う・拝聴する
するなさるいたす
知っているご存じだ存じている・存じ上げている
もらうお受け取りになるいただく・頂戴する

面接でそのまま使えるフレーズ

場面使えるフレーズ
入室するとき「失礼いたします」
名乗るとき「〇〇大学の〇〇と申します。本日はよろしくお願いいたします」
質問を聞き返すとき「恐れ入りますが、もう一度お聞きしてもよろしいでしょうか」
考える時間がほしいとき「少し考える時間をいただいてもよろしいでしょうか」
答えがわからないとき「申し訳ございません。勉強不足で、存じ上げておりません」
退室するとき「本日はありがとうございました。失礼いたします」

面接でよくある、敬語の間違い

間違えやすい言い方正しい言い方・ポイント
「貴社」と話す話すときは「御社(おんしゃ)」、書くときは「貴社(きしゃ)」
「おっしゃられる」「おっしゃる」で十分(敬語を重ねる二重敬語)
「〜させていただきます」の連発「〜いたします」「〜します」に言い換える
「よろしかったでしょうか」「よろしいでしょうか」
「私的には」「〜みたいな」「私は」「〜のような」
「バイト」「サークルの先輩」「アルバイト」「サークルの先輩の方」

敬語が崩れてしまったときの立て直し方

面接の途中で、敬語が崩れてしまうこともあるでしょう。そんなときも、慌てる必要はありません。

  • 言い間違いに気づいたら、「失礼いたしました」と一言添えて、言い直せばいい
  • 言い直しにこだわりすぎず、質問への答えを最後まで伝えることを優先する
  • 一度のミスを引きずらず、次の質問から気持ちを切り替える

面接官が気にするのは、ミスそのものよりも、ミスをしたあとの対応です。落ち着いて言い直せる学生は、むしろ好印象を持たれることもあります。

敬語に慣れる練習方法

ここからは、敬語に慣れるための具体的な練習方法を紹介します。敬語は「慣れ」です。話せば話すほど、自然な敬語が身につきます。

敬語に慣れるための練習ステップ

敬語は「外国語」だと思って、とにかく使う

私が皆さんにまず伝えたいのは、「敬語は語学だ」ということです。

英語を話せるようになるには、声に出して練習するしかありませんよね。敬語も同じです。頭でわかっていても、実際に口に出して使わなければ、とっさに出てきません。

「敬語くらい誰でも使える」と油断していると、本番で足元をすくわれます。面接は、自分のESの内容や企業の情報を頭に入れながら、面接官の質問に矛盾なく答えなければならない場です。その中で、完璧な敬語を瞬時に使うのは、思っている以上に難しいのです。

面接用の「自分」になりきる

いきなり普段の言葉づかいを変えるのは難しいものです。そこでおすすめなのが、面接のときだけの「真面目モード」の自分を作ることです。

具体的には、誰かになりきってみましょう。ドラマの中のビジネスパーソンや、憧れの先輩、漫画のキャラクターなど、誰でもかまいません。俳優が役に入るように、面接の間だけ「丁寧に話す人」を演じるのです。

不思議なことに、誰かになりきると、あんなにぎこちなかった敬語がすらすら出てくるのを実感できると思います。普段の自分のままで敬語を話そうとするより、別の人格を演じたほうが、言葉を切り替えやすいのです。

声に出して、面接の練習をする

一覧のフレーズや、よく聞かれる質問への答えを、実際に声に出して練習しましょう。自分の声をスマートフォンで録音して聞き返すと、敬語のくせや言い間違いに気づけます。

社会人と話す機会を増やす

アルバイト先の社員や、大学のキャリアセンターの職員、説明会で会う社員など、身近な社会人と敬語で話す機会を意識して増やしましょう。電話やメールのやり取りも、敬語の練習になります。

面接の練習をする就活生(イメージ)
※画像はイメージです

敬語以外で、面接の印象を決めるもの

敬語は大切ですが、面接の印象を決めるのは敬語だけではありません。むしろ、次のようなポイントのほうが、合否に大きく影響します。

  • 入室やあいさつの第一印象
  • はっきり聞き取れる声の大きさ
  • 質問に対して、結論から答えること

特に一次面接では、第一印象が合否を大きく左右します。敬語の練習と一緒に、こうしたポイントも見直しておきましょう。

面接の場面別・敬語の例文

ここからは、面接の流れに沿って、そのまま使える例文を紹介します。声に出して練習してみてください。

面接の流れと、場面ごとの敬語のポイント

入室〜着席

ノックをして「どうぞ」と言われたら、「失礼いたします」と言って入室します。ドアを閉めて面接官の方に向き直り、「〇〇大学〇〇学部の〇〇と申します。本日はよろしくお願いいたします」とあいさつします。「どうぞおかけください」と言われたら、「失礼いたします」と言って座ります。

自己紹介・質問への回答

「〇〇大学の〇〇と申します。大学では〇〇を専攻しております」。質問に答えるときは、「はい。私は〜と考えております」のように、結論から話し始めると、敬語も崩れにくくなります。

質問が聞き取れなかったとき

「恐れ入ります。もう一度お聞きしてもよろしいでしょうか」。聞き返すのは失礼ではありません。わからないまま答えるより、ずっと良い印象を与えます。

逆質問

「〇〇について、お伺いしてもよろしいでしょうか」。面接官の説明に対しては、「ご説明いただき、ありがとうございます」と添えると丁寧です。

退室

面接が終わったら、座ったまま「本日はお忙しいところ、ありがとうございました」とお礼を言います。立ち上がって一礼し、ドアの前で振り返って「失礼いたします」と言ってから退室します。

電話やメールの敬語も、練習になる

面接だけでなく、企業との電話やメールのやり取りでも敬語を使います。電話やメールは、面接の前に敬語に慣れる絶好の練習の場です。

場面使える表現
電話をかけたとき「〇〇大学の〇〇と申します。人事部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか」
担当者が不在のとき「承知いたしました。改めてお電話いたします」
メールの書き出し「〇〇株式会社 人事部 〇〇様 お世話になっております。〇〇大学の〇〇です」
メールの締め「お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします」

メールは文章なので、送る前に読み返して、敬語の間違いを直すことができます。電話は面接と同じく、その場で話す力が試されます。最初は緊張しますが、話す内容をメモに書いてからかければ、落ち着いて話せます。

面接の敬語についての、よくある質問

Q. 面接で「御社」と「貴社」は、どう使い分けますか?

話すときは「御社」、ESやメールなど文章で書くときは「貴社」を使います。面接は話す場なので「御社」です。

Q. 「〜させていただきます」は、使ってはいけませんか?

使ってはいけないわけではありません。ただ、何度も使うと回りくどく聞こえます。「〜いたします」「〜します」などに言い換えて、使いすぎないようにしましょう。

Q. 緊張すると、どうしても敬語が崩れます

緊張するのは当たり前です。完璧を目指すより、よく使うフレーズを体に覚えさせて、緊張していても自然に口から出てくる状態を作りましょう。何度か面接を経験すれば、緊張も和らいでいきます。面接官は鋭い質問で学生を追い詰める存在ではないと知っておくだけでも、気持ちが楽になります。

Q. オンライン面接でも、敬語は同じですか?

基本的な敬語は、対面の面接と同じです。オンライン面接では、音声が聞き取りにくいこともあるので、いつもより少しゆっくり、はっきり話すことを意識しましょう。聞き取れなかったときは、「恐れ入ります。音声が途切れてしまったので、もう一度お聞きしてもよろしいでしょうか」と伝えれば大丈夫です。

Q. 面接官が砕けた話し方をしてきたら、合わせたほうがいいですか?

面接官が親しみやすい話し方をしてきても、学生は丁寧な言葉づかいを続けるのが基本です。ただ、かしこまりすぎて会話がぎこちなくなるなら、表情を和らげて、自然な敬語で話せば十分です。

まとめ

面接の敬語は、完璧である必要はありません。大切なのは、丁寧に話そうとする姿勢と、面接でよく使う表現を自然に使えることです。

  • 面接官は、完璧な敬語より、丁寧に伝えようとする姿勢を見ている
  • 面接でよく使う敬語やフレーズは限られている。一覧で覚えておけば困らない
  • 敬語が崩れたら、「失礼いたしました」と言い直して、答えを最後まで伝える
  • 敬語は「外国語」。とにかく声に出して使い、面接用の自分になりきるのがコツ

敬語への苦手意識がなくなれば、面接で話す中身に集中できるようになります。今日から、声に出す練習を始めてみてください。

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