「この会社、大丈夫かな」「入社してすぐに潰れたらどうしよう」。就活をしていると、志望する会社の将来に不安を感じることがあります。ニュースで大企業のリストラや倒産の話を聞くと、なおさら心配になりますよね。

結論から言うと、ポイントは次の3つです。

  • 絶対に潰れない会社はない。大事なのは、危ない会社を見分ける目と、何があっても困らない準備
  • 潰れそうな会社には、売上や人の出入りなどに予兆が出る。就活生でも調べられる
  • あえて苦しい会社に入るのも、若いうちなら大きな経験になる。転職を前提に考えれば、人生は終わらない

この記事では、潰れそうな会社の予兆の見分け方と、それでもあえて入社する場合のメリット・デメリットを解説します。不安で就活が進まない人の背中を押せればうれしいです。

絶対に潰れない会社はない

まず知っておいてほしいのは、「絶対に潰れない会社」は存在しないということです。

東京商工リサーチの調査によると、2025年に倒産した会社(負債額1,000万円以上)は約1万件にのぼり、12年ぶりに1万件を超えました。物価の上昇や人手不足が、中小企業の経営に重くのしかかっています。

大企業であっても安心はできません。会社そのものは潰れなくても、業績が悪くなれば、希望退職を募ったり、部署を縮小したりすることがあります。会社は潰れなくても、社員が会社を去らなければならないことはあるのです。

つまり、「潰れるか、潰れないか」を就活生が完璧に見分けることはできません。だからこそ、次の2つが大切になります。

  • 明らかに危ない会社を避けるための、予兆の見分け方を知ること
  • どの会社に入っても困らないよう、自分に力をつけること

潰れそうな会社に出やすい予兆

会社が傾くときには、いくつかの予兆が出ることが多いです。就活生でも調べられるものを中心にまとめました。

潰れそうな会社に出やすい予兆のチェックリスト
予兆調べ方
売上が何年も続けて減っている上場企業なら決算資料(IR)、それ以外は就職四季報や企業の公式サイト
赤字が続いている決算資料、決算公告
いつも求人を出している、社員がすぐ辞める就活サイトの求人の出し方、3年以内の離職率
役員や社長がよく交代する企業の公式サイトの沿革、ニュース
1社の取引先への依存が大きい企業の公式サイトの取引先、決算資料
給料の支払いが遅れる、ボーナスが出ない口コミサイト、説明会での質問

数字は、ひとつだけで判断しない

ここで気をつけたいのは、予兆がひとつ当てはまるだけで「危ない会社」と決めつけないことです。成長のために投資をしている会社は、一時的に赤字になることもあります。いくつかの予兆が重なっているかどうかで判断しましょう。

人がすぐ辞める会社は要注意

特に注意したいのが、社員がすぐに辞めてしまう会社です。人が辞めると、残った社員の仕事が増え、さらに人が辞めていくという悪循環に陥ります。人手不足が原因の倒産も増えているので、離職率は必ず確かめておきましょう。

それでも、潰れそうな会社に入るのはアリだと考える理由

ここからは、少し極端な話をします。私は、潰れそうな会社に就職するのも「アリ」だと考えています。もちろん、わざわざ倒産しそうな会社を選ぶ必要はありません。ただ、「もし入った会社が傾いても、それで人生が終わるわけではない」ということを知ってほしいのです。

安定した会社と、苦しい会社に入った場合の違い

理由1:組織が傾く様子を、内側から見られる

会社が苦しくなっていく様子を、内側から見られるのは、ある意味で貴重な経験です。

私たちは、社会で生きていく限り、何らかの組織に所属し続けます。組織が崩れていくときにどんな予兆があるのかを身をもって知っていれば、将来、自分の身を守る力になります。これは、就活やビジネスのスキルというより、社会で生き抜くための力です。

理由2:苦しい環境では、若手にも仕事が回ってくる

業績が厳しい会社では、人手が足りず、若手社員にも責任のある仕事が早くから回ってきます。大企業で何年も下積みをするより、早く実力がつくこともあります。

理由3:転職を前提にすれば、怖くない

もし入った会社が本当に危なくなったら、転職すればいいのです。若いうちの転職は、決して珍しいことではありません。苦しい会社で身につけた経験は、転職の面接でも語れる強みになります。

潰れそうな会社に入るデメリットも知っておく

一方で、デメリットもきちんと知っておく必要があります。

  • 給料が下がったり、ボーナスが出なかったりすることがある
  • 人が辞めていくため、残った社員の仕事が増え、心身の負担が大きくなる
  • 研修や教育の仕組みが整っておらず、仕事を自力で覚える必要がある
  • 本当に倒産した場合、急いで次の仕事を探さなければならない

「経験になる」と思えるのは、心と体が元気でいられる範囲までです。無理をしすぎて体を壊してしまっては元も子もありません。危ないと感じたら、早めに次の道を考えましょう。

不安で就活が進まない人へ

「志望する会社が潰れたらどうしよう」と考えすぎて、就活が進まなくなってしまう人もいます。でも、わからないことをいくら考えても、答えは出ません。

就活生が会社の10年後、20年後を正確に予想するのは不可能です。大切なのは、明らかに危ない会社を避けたうえで、自分にとってメリットのある会社を選び、入社後は自分の力をつけていくことです。

将来に不安を感じながらも前を向く就活生(イメージ)
※画像はイメージです

「やりたい仕事」より「メリット」で選ぶ

会社選びに迷ったら、「この会社で何が得られるか」というメリットで考えてみましょう。給料や休日、身につくスキル、転職に使える経験など、具体的なメリットで選べば、たとえ会社が傾いても、そこで得たものは自分に残ります。

比較的安定した会社を選びたいなら

「それでも、できるだけ安定した会社に入りたい」と考えるのは、まったく悪いことではありません。比較的安定しやすいのは、次のような会社です。

  • 電気・ガス・鉄道などのインフラのように、生活に欠かせない事業をしている
  • 特定の分野で高いシェアを持ち、ほかの会社に代わりがきかない
  • 借金が少なく、自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金の割合)が高い

公務員という選択肢を考える人もいるでしょう。それぞれのメリットとデメリットを比べて、自分に合った道を選んでください。

就活生でもできる、会社の数字の見方

「会社の数字なんて、難しくて見方がわからない」という人も多いでしょう。でも、就活生が見るべき数字は、それほど多くありません。まずは次の3つを、3〜5年分並べて見てみてください。

見る数字わかること目安
売上高会社の事業の大きさと、伸びているかどうか数年続けて増えているか、横ばいか
営業利益本業でどれだけもうけているか黒字が続いているか
自己資本比率会社の資産のうち、返す必要のないお金の割合一般に高いほど借金が少なく、経営が安定しているとされる

たとえば、次のような2社があったとします。

A社B社
売上高(3年間)100億円→110億円→120億円100億円→90億円→80億円
営業利益(3年間)5億円→6億円→7億円2億円→赤字→赤字
自己資本比率50%10%

A社は売上も利益も伸びていて、借金も少ない会社です。一方、B社は売上が減り続け、本業で赤字になっています。自己資本比率も低く、借金に頼って経営している可能性があります。数字を数年分並べるだけで、会社の勢いはかなり見えてくるのです。

上場企業なら、会社のIR(投資家向け情報)のページに、決算の資料が載っています。上場していない会社は、就職四季報や会社の公式サイト、説明会での説明から確かめましょう。

会社が潰れても困らない自分になるために

会社の将来は、誰にもわかりません。だからこそ、どんな会社に入っても困らないように、自分の側で準備しておくことが大切です。

会社が潰れても困らないための3つの準備

ほかの会社でも通用するスキルを身につける

営業、経理、ITなど、どの会社でも求められるスキルを、入社後に意識して身につけましょう。会社が傾いても、スキルがあれば次の会社で活躍できます。

生活費の数か月分の貯金をしておく

入社したら、少しずつでも貯金をしておきましょう。急に仕事を失っても、数か月分の生活費があれば、焦らずに次の仕事を探せます。

社外の人とのつながりを持つ

業界の勉強会や、学生時代の友人、取引先の人など、会社の外にもつながりを持っておくと、いざというときに情報や仕事の紹介を受けられることがあります。

ニュースや決算で気をつけたい言葉

会社の危うさは、ニュースや決算の資料の言葉にも表れます。次のような言葉を見かけたら、その会社の状況を詳しく調べてみましょう。

言葉意味
希望退職・早期退職の募集会社が人員を減らそうとしている。業績が悪化していることが多い
継続企業の前提に関する注記会社が事業を続けられるかどうかに、重大な不安があると決算で示されたもの
債務超過会社の借金などが、資産を上回っている状態
事業の売却・撤退一部の事業から手を引くこと。立て直しのための前向きな場合もある

特に「継続企業の前提に関する注記」は、上場企業の決算で、事業を続けることに重大な疑いがあるときに記載されるものです。こうした言葉が出ている会社は、慎重に判断しましょう。ただし、事業の売却のように、会社を立て直すための前向きな決断である場合もあるので、言葉だけで決めつけないことも大切です。

潰れそうな会社についての、よくある質問

Q. 入社した会社が潰れそうになったら、どうすればいいですか?

まずは、給料の遅れや大量の退職、取引先の離脱など、具体的な予兆を冷静に確かめましょう。そのうえで、在職中に転職活動を始めるのがおすすめです。会社を辞めてから探すより、気持ちに余裕を持って次の仕事を選べます。

Q. 内定先の会社の業績が悪いと知りました。辞退したほうがいいですか?

業績が一時的に悪いだけなのか、何年も悪化が続いているのかで判断が変わります。決算資料などで数年分の売上や利益の推移を確かめ、予兆がいくつも重なっているなら、ほかの選択肢も考えましょう。迷ったら、内定先の人事に、今後の見通しを率直に聞いてみるのもひとつの方法です。

Q. ベンチャー企業は、潰れやすいですか?

一般に、設立して間もない会社は、大企業に比べて経営が不安定になりやすいと言われます。一方で、若いうちから大きな仕事を任されるなど、ベンチャー企業ならではのメリットもあります。リスクとメリットの両方を知ったうえで選びましょう。

Q. 大企業なら、潰れる心配はありませんか?

大企業は、中小企業に比べれば経営が安定していることが多いですが、絶対に潰れないとは言えません。会社が潰れなくても、事業の縮小や希望退職の募集で、働き方が大きく変わることもあります。会社の大きさだけで安心せず、業績の推移も確かめましょう。

まとめ

絶対に潰れない会社はありません。大切なのは、明らかに危ない会社を避ける目を持ちつつ、どの会社に入っても困らない力をつけることです。

  • 2025年の倒産は約1万件。大企業でも安心はできず、会社が潰れなくても社員が去ることはある
  • 売上の減少、赤字、人の出入りの多さなど、予兆がいくつも重なる会社は要注意
  • 苦しい会社に入るのも、若いうちなら大きな経験になる。転職を前提に考えれば怖くない
  • ただし、心と体を壊すほど無理をする必要はない

不安に押しつぶされて就活が止まってしまうのが、いちばんもったいないことです。開き直って、目の前の就活を進めていきましょう。

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