ESの志望動機の欄を前に、手が止まっていませんか。特に、就活を始めるまで名前も知らなかった会社では、書くことが思いつかないのが普通です。

結論から言うと、志望動機は自分の中から探すものではありません。企業が公開している情報から、相手が聞きたいことを見つけて書きます。

  • 志望動機を書くために、自己分析をする必要はない
  • 企業の採用ページ、社長のメッセージ、会社の歴史に答えがある
  • 「企業の特徴+自分の経験+入社後にやりたいこと」の型に当てはめる

この記事では、公開情報の読み方と、志望動機の型、そのまま参考にできる例文を紹介します。

志望動機が思いつかないのは普通のこと

志望動機とは、簡単に言うと「なぜその会社を受けるのか」という理由です。

でも、多くの就活生の本音は「就活を始めたから」です。知らなかった会社に、最初から熱い動機があるほうが珍しいでしょう。思いつかないからといって、自分を責める必要はありません。

自己分析から作ろうとすると行き詰まる

就活のアドバイスでは、「自己分析をして、自分の動機を見つけましょう」とよく言われます。しかし、これから何十社も受けるのに、1社ごとに自分の内面を掘り下げるのは現実的ではありません。

私は自己分析を一切せずに就活をしました。それでも志望動機で困ることはありませんでした。志望動機は、自分を見つめる作業ではなく、相手を調べる作業だからです。

志望動機で企業が見ていること

企業が内定を出すかどうかは、大きく分けると2つの点で決まります。

見ている点確かめる場面
仕事ができそうかSPI、ガクチカ、面接の受け答え
自社に合っていて、入社してくれそうか志望動機、面接での話し方

志望動機で伝えるのは、後者です。つまり、「御社のことを理解しています」「御社で働きたいです」「御社と考えが合っています」の3つが伝われば十分です。

就活に、自己表現は必要ありません。商売と同じで、相手が何を求めているかを考えて話すことが大切です。

企業の公開情報から材料を集める

相手が聞きたいことは、多くの場合、企業自身が公開しています。次の順番で見ていきましょう。

志望動機の材料を集める場所

採用ページ

まず見るのは、採用ページの「仕事紹介」と「社員紹介」です。社員がどんな言葉で仕事を語っているかに注目すると、その会社が大事にしていることが見えてきます。

採用ページの言葉読み取れること志望動機で触れること
「チームで」が多い協力を重視しているみんなで取り組んだ経験
「挑戦」が多い自分から動く人を求めている自分で工夫して動いた経験
「お客様に寄り添う」相手の話を聞く姿勢を重視接客や相談を受けた経験
「専門性」が多い長く学び続ける人を求めている続けて勉強した経験

社長のメッセージと経営方針

社長のメッセージには、会社がこれから進みたい方向が書かれています。上場企業なら、中期経営計画も参考になります。

「海外の売上を増やす」「新しい分野に進出する」といった話があれば、志望動機の「入社後にやりたいこと」につなげられます。

会社の歴史

会社の沿革を見ると、その会社の性格がわかります。創業何年か、何をきっかけに大きくなったのか、合併を経験しているのか、といった点を確かめましょう。

業界での立場

同じ業界の会社と比べて、何が強いのかを調べます。「○○の分野で高いシェアがある」「特定の業界向けに強い」といった事実は、そのまま志望理由になります。

志望動機の書き方|3つの型

材料が集まったら、次の型に当てはめます。

志望動機の型

  1. 結論:「○○の点に魅力を感じ、志望しました」
  2. 理由:自分の経験から、なぜそこに魅力を感じるのか
  3. 入社後:どんな仕事に取り組みたいか
志望動機を組み立てる手順

全部で200〜300字程度にまとめるとちょうどよい長さです。企業の特徴の部分だけを入れ替えれば、同じ業界の会社にも使えます。

例文1:BtoBのメーカー(アルバイトの経験から)

「私は、企業の製造現場を支える○○の分野で高いシェアを持つ点に魅力を感じ、貴社を志望しました。飲食店のアルバイトで、お客様の要望を聞きながらメニューの提案を工夫した結果、注文が増えた経験から、相手の課題を聞いて提案する仕事にやりがいを感じています。入社後は営業として、取引先の課題を聞きながら、貴社の製品を提案できるようになりたいです」

例文2:地域に根ざした会社(ゼミの経験から)

「私は、創業以来○○地域の企業を支えてきた貴社の姿勢に魅力を感じ、志望しました。ゼミで地域の商店街を調べ、関係者に話を聞いてまとめた経験から、人と直接関わりながら地域に貢献できる仕事に就きたいと考えています。入社後は、地域のお客様から信頼される担当者を目指します」

例文3:知名度が低い会社(なぜ知ったのかを入れる)

「業界新聞で、貴社が○○向けの新しい工場を建てるという記事を読み、興味を持ちました。調べるうちに、△△の分野で国内外の企業と取引していることを知り、安定した基盤の上で新しい分野に挑戦している点に魅力を感じました。部活動で新しい練習方法を提案し、続けて改善してきた経験を活かし、貴社の成長に貢献したいです」

例文の経験や数字は、あなた自身のものに置き換えてください。持っていない経験を作る必要はありません。

面接の相手によって話し方を変える

志望動機は、ESに書いて終わりではありません。面接では、相手に合わせて話し方を変えましょう。

相手関心があること話し方のコツ
人事一緒に働けそうか、入社してくれるか会社の今の魅力を具体的に話す
現場の社員仕事を理解しているか仕事の内容に触れて話す
社長・役員会社の将来に合うか経営方針に絡めて、未来の話をする

最終面接の前には経営方針を読み直す

社長や役員は、会社の未来を考えています。「今の会社が好きです」だけでなく、「こういう方向に進む会社で、こんな仕事をしたい」という話が響きやすくなります。

社訓やスローガンがある会社では、その言葉も読み直しておきましょう。特に創業者の考えを大切にしている会社では、効果があります。

志望動機で避けたいこと

材料を集めても、次のような書き方は避けましょう。

  • どの会社にも言える内容:「社会に貢献したい」だけでは、その会社を選んだ理由にならない
  • もらう側の話だけ:「成長できる環境」「研修が充実」だけでは、会社にとっての利点が伝わらない
  • 事実の間違い:事業の内容や社名を間違えると、調べていないと思われる
  • ホームページの丸写し:同じ言葉を並べるだけでは、自分の考えが伝わらない

また、給料や休みを本当の理由にしていても、そのまま書く必要はありません。「長く働き続けられる環境で経験を積みたい」のように、働く姿勢として伝えましょう。

時間をかけすぎない

すべての企業に、同じだけの時間をかける必要はありません。本命の会社はじっくり調べ、それ以外は型を使って短い時間で書きましょう。ESを早く書く方法は、次の記事で紹介しています。

志望動機を書くときの机(イメージ)
※画像はイメージです

志望動機の添削例|よくある文をどう直すか

書いた志望動機がなぜ弱いのかは、自分では気づきにくいものです。よくある例を直してみましょう。

例1:どの会社にも言える志望動機

直す前:「私は人の役に立つ仕事がしたいと考え、社会を支える貴社を志望しました」

直した後:「私は、工場の設備が止まらないように支える貴社の保守サービスに魅力を感じました。アルバイトでお客様の困りごとに先回りして対応した経験から、相手の仕事を裏側で支える仕事にやりがいを感じています」

「人の役に立つ」を、その会社の具体的な仕事に置き換えるのがポイントです。

例2:もらう側の話だけの志望動機

直す前:「研修制度が充実しており、成長できる環境に魅力を感じました」

直した後:「若手が早くから取引先を担当される点に魅力を感じました。研修で基礎を学んだうえで、1年目から現場で経験を積み、お客様に提案できる営業になりたいと考えています」

会社が聞きたいのは、あなたが何をもらえるかだけではありません。入社後に何をするつもりなのかを加えましょう。

例3:ホームページの丸写し

直す前:「『技術で未来を創る』という企業理念に共感しました」

直した後:「理念に掲げられている技術への姿勢が、新製品への毎年の投資に表れている点に魅力を感じました。私もゼミで同じテーマを2年間調べ続けてきたので、時間をかけて技術を育てる姿勢に共感しています」

理念を挙げるときは、それが実際の事業のどこに表れているかまで書くと、調べたことが伝わります。

書いた後のチェックリスト

提出する前に、次の点を確かめましょう。

  • 社名を別の会社に変えても通じる文になっていないか
  • その会社の事実が、1つ以上入っているか
  • 自分の経験が、1つ入っているか
  • 入社後にやりたいことが書かれているか
  • 面接で「なぜ」と聞かれても説明できるか
  • 社名、「貴社」の使い方に間違いがないか

特に最初の項目が重要です。社名を入れ替えても通じるなら、まだ調べ方が足りません。なお、ESでは「貴社」、面接で話すときは「御社」と言うのが一般的です。

志望動機について、よくある質問

Q. 本当に行きたいわけではない会社の志望動機はどう書きますか?

本音を全部書く必要はありません。会社の事実の中から、自分が良いと思える点を1つ選びましょう。嘘ではなく、良いと思った部分に絞って話すということです。

Q. 同じ志望動機を使い回してもいいですか?

型を使い回すのは問題ありません。ただし、企業の特徴の部分は、必ずその会社に合わせて書き換えましょう。社名の間違いにも注意してください。

Q. 採用ページに情報が少ない会社はどうすればいいですか?

業界新聞、決算資料、説明会を使いましょう。説明会で聞いた話は、「説明会で○○と伺い」と書けるので、良い材料になります。ホームページに力を入れていない優良企業もあります。

Q. 「第一志望ですか」と聞かれたら?

「第一志望です」と答えるのが一般的です。他社の状況を聞かれたときの考え方は、次の記事を参考にしてください。

Q. 志望動機とガクチカの話がつながりません。

無理につなげなくても大丈夫です。経験から「こういう仕事にやりがいを感じる」という部分だけを取り出して、その会社の仕事と結びつけましょう。

まとめ:志望動機は企業の公開情報から作る

志望動機が思いつかないときは、次のように進めましょう。

  • 自分の中を探すのをやめて、相手を調べる
  • 採用ページ、社長のメッセージ、会社の歴史、業界での立場から材料を集める
  • 「結論+自分の経験+入社後」の型に当てはめる
  • 面接では、相手に合わせて話し方を変える

まずは受ける会社を1社選び、採用ページによく出てくる言葉を3つ書き出してみましょう。それが、志望動機の出発点になります。

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